相続用語集|50音順でわかる遺産相続の基礎知識

相続の手続きや遺言書の作成を進める中で、聞きなれない専門用語に戸惑うことはありませんか?このページでは、相続に関する基本的な用語から、少し難しい法律用語までを50音順に整理して解説します。

わからない言葉が出てきた際の辞書としてご活用ください。

目次

【あ行】相続用語

【遺言】(いごん・ゆいごん)自分の死後に財産を「誰に」「どれくらい」遺すかなど、最終的な意思を表示したものです。法律的な効力を持たせるためには、民法で定められた厳格な方式(自筆証書遺言、公正証書遺言など)に従って作成する必要があります。


【遺言執行者】(いごんしっこうしゃ)遺言書の内容を実現するために必要な手続き(預貯金の解約や不動産の名義変更など)を行う人のことです。遺言書で指定されている場合や、家庭裁判所で選任される場合があります。


【遺言書の検認】(いごんしょのけんにん)公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合に行う家庭裁判所での手続きです。相続人に対し遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状や状態を確認して偽造や変造を防ぐために行います。


【遺産分割】(いさんぶんかつ)被相続人が亡くなったことで共有状態となっている相続財産を、各相続人に具体的に分配する手続きのことです。


【遺産分割協議】(いさんぶんかつきょうぎ)遺産の分け方について相続人全員で行う話し合いのことです。相続人全員の合意が必要です。


【遺産分割協議書】(いさんぶんかつきょうぎしょ)遺産分割協議で決まった内容を記した書面です。相続人全員が署名し、実印を押印します。不動産登記や銀行手続きで必要になります。


【遺贈】(いぞう)遺言によって、財産の全部または一部を無償で譲ることです。相続人以外の人(個人や法人)に財産を遺すことも可能です。


【遺留分】(いりゅうぶん)兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・親など)に法律上保障された、最低限受け取れる遺産の割合のことです。


【遺留分侵害額請求】(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)遺言などによって自分の遺留分が侵害された(取り分が少なくなった)場合に、多く受け取った相手に対して不足分の金銭を請求することです。※旧法では「遺留分減殺請求」と呼ばれていました。


【延滞税】(えんたいぜい)定められた期限までに税金を納付しなかった場合に課される税金です。


【エンディングノート】自分に万が一のことが起きた場合に備え、家族へのメッセージや、医療・介護・葬儀・相続などの希望を書き留めておくノートです。遺言書とは異なり法的効力はありません。

【か行】相続用語

【改製原戸籍謄本】(かいせいはらこせきとうほん)法律の改正により戸籍の様式が作り替えられた際の、書き換えられる前の古い戸籍の写しです。「ハラコセキ」や「ゲンコセキ」と呼ばれます。相続人の調査で必要になることが多い書類です。


【貸宅地】(かしたくち)第三者に建物を所有させる目的で貸している土地(底地)のことです。評価額が減額されるため節税効果があります。


【貸家建付地】(かしやたてつけち)自分の土地に自分でアパートなどを建て、他人に貸している場合の土地のことです。


【家庭裁判所】(かていさいばんしょ)家庭内の紛争(離婚や相続)や少年事件などを扱う裁判所です。遺言の検認や相続放棄の申述、遺産分割調停などはここで行います。


【換価分割】(かんかぶんかつ)遺産(不動産など)を売却して現金化し、その現金を相続人で分ける遺産分割の方法です。


【期日前解約】(きじつぜんかいやく)定期預金などを満期が来る前に解約することです。相続発生時には、被相続人の定期預金を中途解約して遺産分割することがあります。


【基礎控除(相続税)】(きそこうじょ)相続税がかかるかどうかのボーダーラインとなる金額です。遺産総額が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」以下であれば、相続税はかからず申告も不要です。


【寄与分】(きよぶん)被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献した(家業の手伝いや介護など)相続人がいる場合、その貢献分を相続額に上乗せする制度です。


【共有分割】(きょうゆうぶんかつ)一つの遺産(不動産など)を、複数の相続人が持分を決めて共同所有する分割方法です。将来の売却時などにトラブルになりやすいため注意が必要です。


【限定承認】(げんていしょうにん)プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金)を引き継ぐ相続の方法です。相続人全員で申し立てる必要があります。


【検認】(けんにん)→「遺言書の検認」を参照。


【現物分割】(げんぶつぶんかつ)「自宅は妻、預金は長男」というように、遺産そのものを誰が取得するか決める、最も一般的な分割方法です。


【公示地価】(こうじちか)国土交通省が毎年公表する土地の価格です。土地取引の目安となります。


【公証人】(こうしょうにん)法務大臣に任命され、公正証書の作成などを行う公務員です。元裁判官や検察官などの法律実務家が就任しています。


【公正証書遺言】(こうせいしょうしょゆいごん)遺言者が公証人に遺言の内容を口頭で伝え、公証人が作成する遺言書です。原本が公証役場に保管されるため、紛失や偽造の恐れがなく、検認手続きも不要です。


【広大地】(こうだいち)標準的な宅地に比べて著しく広い土地のことです。開発時に道路や公園などの公共用地が必要となる場合、相続税評価額が減額される評価方法がありましたが、現在は「地積規模の大きな宅地の評価」という制度に変わっています。


【固定資産課税台帳】(こていしさんかぜいだいちょう)市町村が管理する、固定資産(土地・家屋・償却資産)の所有者や評価額などが記載された台帳です。これを一覧にしたものを「名寄帳(なよせちょう)」と呼びます。


【戸籍謄本】(こせきとうほん)戸籍に記載されている全員分の身分事項を写した証明書です。現在はコンピュータ化され「全部事項証明書」とも呼ばれます。

【さ行】相続用語

【祭祀財産】(さいしざいさん)系譜(家系図)、祭具(位牌・仏壇)、墳墓(墓地・墓石)など、祖先を祀るための財産です。これらは相続財産には含まれず、相続税の対象外(非課税)です。祭祀承継者が引き継ぎます。


【財産評価基本通達】(ざいさんひょうかきほんつうたつ)国税庁が定めた、相続税や贈与税を計算する際の財産評価の基準(ルールブック)です。


【死因贈与】(しいんぞうよ)「私が死んだらこの財産をあげます」というように、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約です。遺贈と異なり、受け取る側の合意(契約)が必要です。


【時価】(じか)その時々の市場で成立する価格のことです。遺産分割協議では原則として時価を基準に行います。


【自筆証書遺言】(じひつしょうしょゆいごん)遺言者が全文(財産目録を除く)を自筆で書き、日付・氏名を書いて押印して作成する遺言書です。手軽に作成できますが、形式不備で無効になるリスクがあります。


【失踪宣告】(しっそうせんこく)長期間生死不明の人を、法律上死亡したものとみなす家庭裁判所の手続きです。これにより相続が開始します。


【自用地】(じようち)他人に貸しておらず、自分で使用している(使用する権利がある)土地のことです。


【受遺者】(じゅいしゃ)遺言(遺贈)によって財産を受け取る人のことです。


【準確定申告】(じゅんかくていしんこく)亡くなった人の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告です。相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。


【消極財産】(しょうきょくざいさん)借金や未払金、連帯保証債務などの「マイナスの財産」のことです。


【除籍謄本】(じょせきとうほん)結婚や死亡、転籍などでその戸籍内の全員がいなくなった(除籍された)戸籍の写しです。


【成年後見制度】(せいねんこうけんせいど)認知症などで判断能力が不十分な方を法律的に支援・保護する制度です。相続人に認知症の方がいる場合、遺産分割協議を行うために成年後見人の選任が必要になることがあります。


【積極財産】(せっきょくざいさん)現金、預貯金、不動産、株式など、金銭的価値のある「プラスの財産」のことです。


【相続】(そうぞく)亡くなった人の財産上の権利義務(プラスの財産もマイナスの財産も)を、配偶者や子などの親族が受け継ぐことです。


【相続時精算課税制度】(そうぞくじせいさんかぜいせいど)60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ生前贈与をする際、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。その代わり、贈与者が亡くなった時に、その贈与額を相続財産に足し戻して相続税を計算します。


【相続税】(そうぞくぜい)遺産総額が基礎控除額を超えた場合に、その超えた部分に対してかかる税金です。申告期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です。


【相続登記】(そうぞくとうき)不動産の所有者が亡くなった際に、名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。2024年4月1日から義務化されました。


【相続人】(そうぞくにん)民法の規定により、被相続人の財産を相続する権利がある人のことです。


【相続人の廃除】(そうぞくにんのはいじょ)被相続人を虐待したり重大な侮辱を与えたりした相続人から、被相続人の意思(家庭裁判所への請求や遺言)によって相続権を剥奪することです。


【相続の欠格】(そうぞくのけっかく)遺言書を偽造したり、被相続人を殺害しようとしたりするなど、不正な利益を得ようとした相続人の相続権を強制的に失わせる制度です。


【相続分の譲渡】(そうぞくぶんのじょうと)遺産分割協議がまとまる前に、自分の「相続人としての地位(取り分)」を他の人に譲り渡すことです。


【相続放棄】(そうぞくほうき)プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないこととする手続きです。相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きする必要があります。


【贈与】(ぞうよ)生きている間に、自分の財産を無償で相手に与える契約のことです。

【た行】相続用語

【代襲相続】(だいしゅうそうぞく)相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が、被相続人よりも先に亡くなっている場合に、その子供(孫や甥・姪)が代わりに相続することです。


【代償分割】(だいしょうぶんかつ)特定の相続人が遺産(不動産など)を現物で取得する代わりに、他の相続人に対して代償金(現金)を支払って清算する分割方法です。


【単純承認】(たんじゅんしょうにん)被相続人の財産(借金含む)をすべて無条件に引き継ぐことです。特別な手続きをしなければ自動的に単純承認となります。


【地目】(ちもく)不動産登記法における土地の種類の区分です(宅地、田、畑、山林、雑種地など)。現況と登記簿上の地目が異なる場合もあります。


【嫡出子】(ちゃくしゅつし)法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供のことです。


【直系尊属・直系卑属】(ちょっけいそんぞく・ひぞく)尊属は自分より前の世代(親・祖父母)、卑属は自分より後の世代(子・孫)のことです。直系とは親子関係でつながる系統を指します。


【定期贈与】(ていきぞうよ)「毎年100万円ずつ、10年間にわたって贈与する」というように、一定期間一定額を給付する契約のことです。最初から総額を贈与する約束があったとみなされ、一括で贈与税がかかる場合があります。


【特定遺贈】(とくていいぞう)「A土地を長男に」というように、特定の財産を指定して遺贈することです。


【特別縁故者】(とくべつえんこしゃ)相続人が誰もいない場合に、被相続人と特別に親しい関係にあった(生計を同じくしていた、療養看護に努めた等)として、家庭裁判所に認められ財産を受け取る人のことです。


【特別受益】(とくべつじゅえき)一部の相続人が、被相続人から生前に受けた特別な贈与(結婚資金や住宅購入資金など)のことです。不公平をなくすため、相続分を計算する際にこの額を遺産に持ち戻して計算します。


【特別代理人】(とくべつだいりにん)未成年の子と親がどちらも相続人である場合など、利益が対立(利益相反)する際に、子の利益を守るために家庭裁判所で選任される代理人です。


【登記事項証明書】(とうきじこうしょうめいしょ)法務局で取得できる、不動産の所有者や内容が記載された証明書です。昔の「登記簿謄本」と同じ内容です。


【登録免許税】(とうろくめんきょぜい)不動産の相続登記(名義変更)など、登記手続きをする際にかかる税金です。

【な行】相続用語

【二次相続】(にじそうぞく)両親の片方が亡くなった相続を「一次相続」、その後残されたもう片方の親が亡くなった時の相続を「二次相続」といいます。二次相続では配偶者の税額軽減が使えないため、税負担が重くなる傾向があります。


【認知】(にんち)婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、父親が自分の子であると法律上認めることです。認知されると相続権が発生します。

【は行】相続用語

【配偶者居住権】(はいぐうしゃきょじゅうけん)被相続人の持ち家に住んでいた配偶者が、家を相続しなくても、終身または一定期間、無償でその家に住み続けられる権利です。


【倍率方式】(ばいりつほうしき)路線価が定められていない地域の土地評価方法です。「固定資産税評価額 × 国税局長が定める倍率」で計算します。


【非課税財産】(ひかぜいざいさん)相続税がかからない財産のことです。墓地や仏壇などの祭祀財産や、死亡保険金・死亡退職金のうちの一定額(500万円×法定相続人の数)などが該当します。


【非嫡出子】(ひちゃくしゅつし)法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(婚外子)のことです。現在は法改正により、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等です。


【被相続人】(ひそうぞくにん)亡くなって、財産を遺す人のことです。


【秘密証書遺言】(ひみつしょうしょゆいごん)遺言の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう遺言方式です。あまり利用されていません。


【負担付遺贈・贈与】(ふたんつきいぞう・ぞうよ)「ペットの世話をするなら」「借金を負担するなら」といったように、財産を与える代わりに一定の義務を負わせる遺贈や贈与のことです。


【法定相続人】(ほうていそうぞくにん)民法で定められた、相続する権利を持つ人の範囲です。配偶者は常に相続人となり、血族には順位(第1順位:子、第2順位:親、第3順位:兄弟姉妹)があります。


【法定相続分】(ほうていそうぞくぶん)民法で定められた、各相続人の取り分の目安です。遺言がない場合の遺産分割の基準となります。


【包括遺贈】(ほうかついぞう)「全財産の2分の1を遺贈する」というように、財産を特定せず割合で指定して行う遺贈のことです。包括受遺者は相続人とほぼ同じ権利義務を持ちます。

【ま行】相続用語

【未成年者控除】(みせいねんしゃこうじょ)相続人が未成年の場合、相続税額から一定額(満18歳になるまでの年数×10万円)を差し引くことができる制度です。


【みなし相続財産】(みなしそうぞくざいさん)民法上の相続財産ではない(遺産分割の対象ではない)けれど、税金の計算上は相続財産として扱う財産のことです。死亡保険金や死亡退職金がこれにあたります。


【無申告加算税】(むしんこくかさんぜい)期限までに申告をしなかった場合に、本来の税金に上乗せして課されるペナルティの税金です。


【名義預金】(めいぎよきん)名義は妻や子供になっているが、実質的には被相続人(亡くなった人)の財産である預金のことです。相続税の調査で指摘されやすいポイントです。

【や・ら・わ行】相続用語

【養子縁組】(ようしえんぐみ)血縁関係のない人との間に、法律上の親子関係を生じさせる手続きです。養子は実子と同じ相続権を持ちます。


【利益相反行為】(りえきそうはんこうい)一方の利益が他方の不利益になる行為のことです。例として、親と未成年の子が共に相続人である遺産分割協議などが該当し、この場合は特別代理人の選任が必要です。


【暦年贈与】(れきねんぞうよ)1月1日から12月31日までの1年間に行われた贈与のことです。年間110万円以下であれば贈与税がかからないため、生前対策としてよく利用されます。


【路線価】(ろせんか)道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格です。市街地にある宅地の相続税評価額を計算する際に使用します。

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以下の記事では、税務処理に詳しい税理士をご紹介していますので、ご参考にして下さい。

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