結婚してから20年以上経過した夫婦の間では、自宅に関する贈与は2,000万円まで非課税になる「配偶者控除」という特例が存在することをご存知ですか?
自宅に関する贈与とは、以下の様なものがあります。
- 既にある自宅の所有権の移転
例えば、共有名義に成っている場合に配分を変更 - これから購入する自宅の購入資金
自宅を購入する資金を贈与
夫婦間の贈与は見逃してしまうことが多いのですが、夫婦間であっても贈与に対して贈与税が発生します。
今回は、夫婦間で発生する贈与と、自宅を取得したり、所有権を移転する場合に利用可能な「配偶者控除」の特例についての詳細をご説明します。
夫婦間でも贈与には贈与税が発生
割と見落とされてしまうことなのですが、夫婦間でも贈与が発生すると、贈与を受け取った人は贈与税を支払わなければなりません。
夫婦にとって、財産は2人で一緒に築くものという考えが強いのですが、厳密には贈与税がかかります。
ただし、民法では、第七百五十二条において「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、夫妻はお互いに扶養義務があります。
このため、夫婦間で財布を一つにして管理している場合が多く存在しますが、実は、贈与税の対象になる行為をしてしまっている可能性が高いです。
夫婦間でどの様な場合に贈与税が発生するのかについて、日常生活でよく起こりそうなケースを例に以下に説明します。
年間110万円以上の金額が夫婦間で移動すると贈与税がかかる
夫婦間に関わらず贈与では、人から人へ財産が移動することを贈与といいます。
贈与の額が、1月1日から12月31日までの1年間に110万円以上贈与されると、財産を受け取った人は、贈与税申告をして贈与税を支払わなければいけません。
【例題1】
夫が妻の誕生日に150万円のダイヤの指輪をプレゼントする夫婦は、贈与税の申告をする必要があるのでしょうか?
夫婦には扶養義務があり、「生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」については、贈与税が掛りません。
しかしながら、「ダイヤの指輪」は「通常必要と認められるもの」には該当しないため、贈与税が発生します。
このため、妻は(150万円ー110万円=40万円)の贈与に対する贈与税4万円を税務署に申告して支払わなければなりません。
この例では簡単にするため「ダイヤの指輪」1個としましたが、毎月10万円分のプレゼントをした場合にも同じことが言えます。
この場合は、妻が(120万円ー110万円=10万円)の贈与に対する贈与税1万円を税務署に申告して支払わなければなりません。
どうですが、150万円と言われると、「そんなにお金持ちじゃないからプレゼントなんてできないよ。」と思った方も、「毎月10万円ならあり得るかも?」と思った方も居るかと思います。
【例題2】
夫は妻に「生活費」として毎月20万円渡しています。しかしながら、妻の実家はお金に余裕があり、妻が生活に困らない様にと母から毎月20万円の現金を受け取っています。
1ヶ月の「生活費や教育費」にかかるお金は毎月25万円です。残りの15万円は3万円を貯金して残りの12万円を夫婦で旅行に行ったり、趣味に使ったりしています。
この場合は、贈与税の申告が必要でしょうか?
結論から言うと、贈与税の申告は必要無いと考えられます。
母から娘への「生活費や教育費」にかかる贈与は非課税とされています。
「生活費や教育費」にかかるお金が毎月25万円なので、夫からの「生活費」20万円+母からの現金の5万円が「生活費や教育費」に割当られ、この分は非課税となります。
残りの15万円の内3万円は「妻の預金口座」に貯金され、残りの12万円は夫婦二人で使っていることになるので、この15万円は贈与されたことになり、贈与税支払いの対象になります。
しかしながら、12万円については夫婦で使用しているため、夫に6万円、妻に6万円の贈与をしたと考えられます。つまり、母から夫に「6万円の贈与」、母から妻に「6万円の贈与」+「3万円のの贈与(預金)」の「9万円の贈与」を毎月受けていることになります。
年間で計算すると、夫が「72万円」、妻が「108万円」の贈与を受けている事になり、110万円の控除枠内に収まっているので、贈与税の申告は必要ありません。
実際のケースでは、もっと複雑になるため、「生活費や教育費」の分と「贈与」の分が明確に解るように、母からは銀行振り込み等の記載が残る様にしておき、「生活費や教育費」の口座と「預金」の口座、「贈与」の口座をそれぞれ分けて管理することが望ましいです。
そうしておくことにより、後から父が亡くなった時の「生前贈与加算」を実施する時に証拠として提示することが可能となります。

【例題3】
夫は妻に「生活費」として毎月40万円妻の銀行口座に振り込んでいます。
1ヶ月の「生活費や教育費」にかかるお金は家計簿に細かく記載されており毎月25万円です。妻は専業主婦で子供はいません。
妻は、パチンコに凝っており毎月生活費で残ったお金15万円をパチンコで費やしてしまいます。この場合は、贈与税の申告が必要でしょうか?
夫婦間の問題なので、非常に難しい内容ですが、相続税の申告が必要と考えて良いかと思います。
夫婦間の「生活費」のやり取りは良くある話ですが、相続税申告後の税務調査で、この15万円の行方について問われる可能性があります。
税務署は相続の際に過去の銀行口座の履歴を最低でも10年分調べることができますから、過去のお金の流れから贈与について指摘されるかもしれません。「贈与税がかかるなんて知らなかった」という言い訳は通用しません。
後に延滞税や無申告加算税などのペナルティも課されることがありますので、使徒不明な預金の引き出し等についてはご注意下さい。
保険料を負担していない保険金の受取り
自分が保険料を負担していない保険金を受け取った場合には、贈与とみなされます。
| 契約者(負担者) | 被保険者 | 受取人 |
|---|---|---|
| 夫 | 子 | 妻 |
上記の場合、保険料の負担者と受取人が違いますから、夫から妻への贈与となります。
ここで注意が必要なのが、契約時の受取人は夫で、途中から妻に変更した場合です。保険の契約内容を途中で変更する場合、契約時には想定しなかった贈与の問題がでてきます。
保険の契約時、契約内容の変更時には、税金の面で影響がないかをよく考えましょう。
【例題4】
子供が生まれた時に、夫は万が一を考えて毎月1万円の掛け金で子供に対して1,000万円の積立生命保険に加入しました。
始めは夫自身が受取人であったが、子供が18歳の成人になった時、受取人を妻に変更しました。贈与税はかかるのでしょうか?
このケースでは、夫から妻への贈与税がかかります。
贈与金額については、保険会社に確認するのが一番ですが、簡単に言うと、夫が18年間、毎月1万円づつ積み立ててきた保険料なので、最低でも18年間x12ヶ月x1万円=216万円以上の価値があります。(利子分が複利で増えるのでもっと多くなります。)
この評価額分が贈与の対象となるため、名義変更した年の贈与として贈与税の申告をします。
詳しい評価金額は、契約した保険会社に問い合わせして下さい。
不動産の持ち分を超えた取得費用の負担
夫婦で不動産を購入する際には、不動産の持ち分と取得費用の負担割合に注意が必要です。この割合が合っていないと贈与税がかかる可能性がでてきてしまいます。
夫が不動産の取得費用を全額負担しているのに、名義を100%妻にした場合には贈与税の対象になることが明らかかと思います。
不動産を夫婦の共有名義にして持ち分を半々にし、どちらかが多く費用を出した場合、多く払った方からもう片方への贈与になります。不動産の購入や住宅ローンの検討をする際には、持ち分と負担割合を合わせて自分の分を自分で支払う設定にする必要があります。
【例題5】
共働きの夫婦が自宅を30年ローンで購入しました。共有名義にしており持ち分は夫が6割、妻が4割としました。生活費はお互い、自分の分は自分で賄う事としていました。
ローンの支払いは夫の給料から全額支払う事とし、妻は支払はありません。
毎月のローン金額は15万円でボーナス時の支払いは60万円で年2回です。
(ローンは元利均等返済で計算されています。)子供が1人でき、既に20年間のローンの支払いを終えた所で、令和10年に夫が死亡しました。
この時、夫の資産は預金なし、妻の資産は2、000万円でした。
家の査定を依頼すると評価額として1億円でした。この時の相続税は幾らになるのでしょうか?
今回の例題はかなり込み入った内容になります。
考慮すべき問題を整理してみましょう。
【相続人】
妻+子供1人
【相続財産】
自宅:10,000万円x6割=6,000万円
【ローンの残高】
毎年のローンの支払い額=(毎月15万円x12ヶ月+ボーナス60万円x2回)
=300万円
ローン残高=300万円x10年
=3,000万円
この内の6割が夫の負債となるため
3,000万円x0.6=1,800万円
この状態だと夫の遺産額は以下の様になります。
自宅6,000万円 ー 1,800万円= 4,200万円
この状態であれば、
基礎控除額=3,000万円+600万円x2人=4,200万円
基礎控除額と等しいので相続税の支払いはありません。
【贈与税の持ち戻し】
今回のケースでは、住宅ローンの支払いが実態と合っていなかった為、ローンの支払いに対する贈与分を持ち戻しする必要があります。
持ち戻しは、令和5年の税制改正により3年から段階的に7年となります。今回のケースでは、令和10年の死亡なので、7年で計算します。
贈与の持ち戻し=((毎年のローンの支払い額 x 配偶者の持ち分)ー 贈与税控除額)x7年
=(300万円x0.4 ー 110万円)x7年
=70万円
【相続税の計算】
夫の遺産額=自宅6,000万円 ー 1,800万円+70万円
=4,270万円
課税遺産総額=夫の遺産額 ー 基礎控除額
=4,270万円 ー 4,200万円
=70万円
これを各人の法定相続分に割りふって相続税を計算すると
相続税 = 配偶者:0万円、子供:3.5万円
※今回のケースでは、7年分の持ち戻しを考慮したため、相続税が発生しました。
特別受益の持戻し免除の推定
今回の計算では、「特別受益の持戻し免除の推定」を考慮しないで計算しましたが、2019年7月に改正されたこの民法を使用すると、『婚姻20年以上の夫婦間で自宅の贈与を行った場合には、遺産の前渡し扱いをしなくてよい』ことになります。
解りやすく言うと、婚姻20年以上の夫婦間で自宅の贈与を行った場合には、「生前贈与」で配偶者から贈与された自宅は「特別受益の持ち戻し」の対象としなくて良いということです。
贈与税の「配偶者控除」の特例とは?
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円まで配偶者控除ができる特例です。
おしどり贈与とも呼ばれています。
長く生活を共にした夫婦を対象に、配偶者に家や財産を引き渡す際の贈与負担を軽くできる制度ですが、実際に、この特例を使って得か、損かは、贈与する財産、相続に回る他の保有財産の状況等によって異なります。
制度の詳細は、
- 婚姻期間が20年を過ぎた夫婦の間で、自分たちが住むための不動産を購入する資金、または不動産そのものを贈与する場合、2,000万円まで贈与税の控除が受けられる
- 贈与を受けた翌年の3月15日までに、この資金で取得した居住用住宅に贈与された配偶者が実際に住み、その後も住み続ける必要がある
- 贈与税は控除されるが、不動産取得税や登記費用などは通常どおり支払う必要がある
- 同じ配偶者間では、配偶者控除は一度しか受けられない
- 相続時精算課税とは併用できない
- 暦年贈与の非課税枠110万円と併用できる
ただこの特例は、不動産そのものを配偶者に贈与する際にはメリットがありますが、購入資金を贈与するメリットはあまりないとも言われています。
というのも、夫婦の場合、一方が亡くなった時の相続税にも配偶者控除が適用され、1億6,000万円という大きな非課税枠があるからです。
わざわざ2,000万円を生前に贈与しなくても、亡くなれば1億6,000万円までは非課税で財産を渡すことができるわけです。
生前にどうしても住宅購入費を相手に渡す必要があるというケースもあまりないでしょうから、利用するかどうかは慎重に検討する必要があります。
生前贈与の配偶者控除の利用条件
生前贈与の配偶者控除はメリットとデメリットが両方とも大きいため必ずしも利用すべき制度とは言い切れません。家族の事情に合わせて利用を判断してください。
ここでは、生前贈与の配偶者控除をどのような条件で利用できるのかを詳しくご説明します。
婚姻期間が入籍してから20年以上
婚姻期間の20年とは入籍してからの期間です。つまり、婚姻届を出さずに婚姻関係を続けていた期間、すなわち事実婚の期間は算定されません。今一度、入籍をいつしたのか、いつから戸籍によって婚姻関係となっているのかを確認してください。
居住用の不動産であること
居住用の不動産であれば、住居でなく土地だけでも構いません。敷地の一部を贈与する場合や持分を贈与する場合にもこの制度が使えます。
居住用の不動産を購入するお金を贈与される場合もこの制度が使えます。
ただし、居住目的の不動産しか認められないため誰かに貸す目的や投資・転売目的の不動産であれば生前贈与の配偶者控除の対象となりません。
居住用の不動産やそのためのお金を贈与した事実が認められればこのような場合もOKです。
店舗と自宅が兼用の場合も生前贈与の配偶者控除の適用対象
居住用の不動産が配偶者控除になるのであれば自宅でお店を営んでいる場合が気になります。この場合でも居住用の部分から優先的に贈与を受けたとして配偶者控除の枠が使えます。90%以上が居住用部分であればすべてが居住用不動産となります。
もともと住んでいた借家を配偶者のお金で購入した場合
家に住んでいる=持家とは限りません。借家を買い上げて持ち家とすることも居住用不動産の購入といえます。
よって配偶者からもらったお金で今住んでいる借家を購入した場合はそのお金が生前贈与の配偶者控除の対象となります。
贈与を受けた翌年の3月15日まで
居住用の不動産だと証明する方法はシンプルで、本当に住んでいることが証拠となります。具体的には受贈者が贈与を受けた翌年の3月15日まで住み、引き続き住む見込みがあればOKです。
すぐに申告できなくても配偶者控除の適用は可能です。贈与税の更正の請求は6年の期限が設けられているからです。
【参考】『その後も引き続き住む見込みであること』という条件には、深い意味があります。
もしも、『贈与後に売却してOK』ということであれば、夫婦で共有名義にしてから売却することによって、譲渡所得の3000万特別控除をダブル適用し、合計6000万まで譲渡所得を無税にできてしまいます。これを防止するために、売却することが前提の場合は、贈与税の配偶者控除を使ってはいけないのです。
同じ配偶者間では一生に一度だけ
繰り返しますが配偶者控除は一生に一度しか使えません。しかし、このルールは夫婦ごとに一生に一度と決められているので夫あるいは妻が変われば、婚姻20年以上などの条件によって利用できるようになります。
したがって、贈与をする配偶者が元配偶者から配偶者控除を利用した贈与を受けていた場合には、配偶者控除の利用が可能です。
生前贈与における配偶者控除の手続き
贈与する金額が2110万以下だった場合は、贈与税は0円となりますが、必ず申告期限(贈与を受けた翌年3月15日)までに贈与税の申告書を税務署に提出する必要があります。これをやらないと、非課税になりませんので、ご注意ください。
配偶者控除の手続きは通常の贈与税申告と同じく税務署で行います。配偶者控除を希望するときは以下のものが必要です。
- 財産の贈与を受けてから10日より後に作成された戸籍謄本(あるいは抄本)
- 財産の贈与を受けてから10日より後に作成された戸籍の附票
- 居住用不動産を取得したことの証明(登記事項証明書など)
さらに、配偶者控除の対象となる財産が金銭でなく住居そのものである場合は固定資産評価証明書など価値を評価する書類も必要となります。
贈与税の「配偶者控除」が税金的に得にならない理由
【理由1】夫婦間は配偶者税額軽減(1億6千万円の控除)で無税
夫婦間の相続では、1億6000万円の税額軽減があるため、わざわざ贈与税の「配偶者控除」の特例を利用しなくても相続税がかからないので、この特例を使用する意味が余りありません。
配偶者税額軽減(1億6千万円の控除)の詳細については、以下の記事で紹介しています。

【理由2】小規模宅地特例が使えない
不動産の相続の場合には、小規模宅地等の評価減という制度があります。
この制度は一言でいうと、「亡くなった人が自宅として使っていた土地は、配偶者か同居している親族が相続するなら、8割引きの評価額で相続していいですよ」という特例です。
この制度があるため、本来2000万円の評価額である自宅でも、配偶者が相続するのであれば400万(8割引き後)の評価額で相続することが可能です。
しかし、この小規模宅地特例は、配偶者に自宅を贈与するときは使えません。あくまで相続の時にしか使うことはできないのです。
つまり、2000万円分の不動産を生前贈与しても、相続税の対象となる財産は、400万円分しか減らせていないのです。
しかも、どっちにしろ配偶者へ相続させる場合には1億6000万まで無税なので、ますます節税効果がないわけですね。
なお、贈与税の「配偶者控除」の特例を利用して相続税の不動産贈与をするメリットとしては、相続ではなく、離婚の時にあります。
不動産が共有名義であった場合には、離婚する時に夫婦どちらかの持ち分を100%にする必要があります。その時、不動産の持ち分を現金で精算するので、その現金の移動に贈与税の「配偶者控除」の特例を使用すれば、2,000万円までの範囲で贈与税を非課税にすることができます。
さらには、配偶者が自宅に住み続けられるようにするという観点では、近年整備された「配偶者居住権」制度も利用できます。
【理由3】不動産取得税と登録免許税
先の2つは「得にならない」理由を解説しました。つまり、メリットがないという内容です。
しかし、私は冒頭で「得になるどころか、損しますよ」とお伝えました。
第3の理由は、損する理由です。
その損する理由というのが、不動産取得税と登録免許税という2つの税金の存在です。
不動産取得税とは、その名前の通り、不動産を取得した時にかかる税金です。
固定資産税評価額に、土地は1.5%、家屋は3%の税率をかけて計算します。仮に2000万円の土地の贈与をした場合には、2000万×1.5%=30万円前後といったところです。※特例は考慮しておりません。
そして、もう一つの税金が登録免許税です。税率は2%です。従って、2000万×2%=40万円です。二つの税金を合わせると70万円前後になります。
かなり高いですよね!
贈与税はかかりませんが、不動産取得税と登録免許税はそれなりにかかってきます。
そして、ここからが驚きの内容なのですが…
贈与ではなく、不動産を相続する場合は、不動産取得税は非課税!登録免許税は0.4%です!
贈与の時は不動産取得税が1.5%or3%、登録免許税が2%かかりますが、相続の時はこれらの税金が非常に優遇されています。不動産は贈与で渡すとコストが高いのです。
【他にも】名義変更費用などが発生
不動産取得税や登録免許税だけではすみません。不動産を贈与するときには名義変更が必要です。この手続きを司法書士に頼むと、おそらく5万~10万円ほど手数料が発生します。さらに、私たち税理士に贈与税の申告を依頼すれば、10万~15万ほどの手数料がかかります。
なんだかんだで、全てのコストを合わせると、100万円前後かかってしまうことになります。
そして、このコストを回収できるだけの節税ができるかというと、残念ながら、できない可能性が高いのです。なぜなら、贈与ではなく相続であれば、夫婦間は1億6000万まで無税、かつ、評価額は8割引きになるからです。
使うと得する場合
購入資金を贈与する場合
一つ目は、これから新しく不動産を購入するにあたり、金銭として2000万を贈与する場合です。この場合には、金銭であるため、不動産取得税や登録免許税、そして司法書士費用も必要ありません。
今回の記事では詳しく書きませんが、相続税は、財産額に偏りがある夫婦よりも、財産額が平準化されている夫婦の方が税額が安くなる性質があります。
例えば、夫が5億の資産・妻が1億の資産をもっている夫婦よりも、夫も妻も3億円ずつもっている夫婦の方が、相続税が安くなります。
その観点から、財産を多く持っている方から、財産が少ない配偶者へ2000万円分の金銭の贈与をするのは、相続税を減らす効果があります。
4.まとめ
夫婦間でのよくあるやり取りも贈与税の対象になる可能性があります。
贈与税がかかるケースを知らないと対策のしようがありません。大きな金額を動かすときには注意が必要です。
また、対策をとるときには相続税・贈与税に関する知識はもちろんのこと、様々な特例の活用やコストを含めた試算が必要です。




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